馬車のち城

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「団長!!」 揺れが小さくなるなか城外へ出て橋の上、橋の向こうでプリシスさんが俺たちを呼ぶ。 「国王たちはどうした」 「それが……」 ちらりと視線を向けていた先には道脇に三人の騎士が取り囲むそこに一台の貴族の乗るような綺麗な馬車。 「あの中か…容体は」 「先ほどまで苦しそうでしたが、一変して今は落ち着いてきています。しかしまだ安静が第一の状況です」 「そうか…ガルシア」 「はっ」 そのまま騎士の人とともにガルシアさんは街へと向かっていった。 「あっ兄様……ごほんっ、それよりこの揺れと上空のあれは……」 その言葉に俺たちは空を見上げる。 城のほぼ真上の位置のさらに上に、茶色い球塊が形成されつつあった。 「あれは……岩?」 街明かりと月のおかげで見えるが中々にでかい。 俺の言葉に食い掛かることなくプリシスさんが頷く。 「門番の兵士の連絡によると、街を囲む大地が上空に吸い寄せられているとのことです……団長あれはいったい?」 「置き土産といったところかの……。プリシス、現在郊外へ一般市民が行ける状況か?」 団長さんの言葉にプリシスさんは首を横に振る。 「揺れが小さくなった時には四方の門から外は強力な引力が働いています。しかもこの暗さで剥がれた大地が飛び交う中、老人子供には不可能です」 狙ったかのように逃げれない状況じゃないか。ん?逃げれない……まさか…… 「道ずれって……」 「そういうことじゃ、おそらく人もろとも街をあれで破壊する気なのじゃろう」 俺たちが理解した中、プリシスさんが困ったように訊いてきた。 「団長、いったい何がどうなっているのですか?」 「うむ、簡単に言えばな………… ――――――ということだ」 話を聞くごとに顔が青ざめていくプリシスさん。聞き終わる頃には真っ青になっていた。 「だ、団長……そんな、どうすれば……」 「落ち着け。おそらく民はただの地震と思っているだけだろう。兵士騎士全員に今すぐ南東の広場と北の集会場に貴族庶民関係なく集めるよう指示するのじゃ。くれぐれも内密に事を運ぶように」 「は、はいっ!!」 プリシスさんが少し離れ小型の装置を出し耳に当て指示を出し始める。 「さて……少年にも手伝ってほしいことがあるのだが」 「え、あ、何ですか?」 「あれを破壊するのを手伝ってはくれまいか?」
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