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横目で確認すると左手には四宝剣が、けど実物は大木の枝のような形をしていてしかも白黒。
色を知らんからな。
「仕方な…ぐっ!?……はぁはぁ、やっぱり、きついか」
死の文字が入るだけあって負担もでかいらしく、急な胸の痛みは危険信号とでも言ったところか。
「早めに終わらせ……ん?」
気のせいか?いや違う、確実に動いている。馬鹿げているレベルだ、この世界はとことん物理的にはいかないらしい。
巨大隕石が落下ではなく上昇していくのだから。
「おー、やっぱり迫力が違うね」
呆気にとられていると不意に聞こえた声。通信機からじゃない、しかも声がすぐ近くから聞こえた。
……下から?
「誰だ?」
下の小部屋に聞こえるよう声を上げると、小部屋の窓から特徴的なピンク色の髪の少女が顔を出した。
「…王女様!?」
馬鹿な、何でこんなところに!?
「私もいるよー」
「フ―!?」
ふっと窓から飛び出て俺の周りを旋回し、また戻っていった。まだ顔が赤かったところをみると、酔ってんな……じゃねぇ!!
すぐに小部屋に飛び込み言う。
「早く逃げてください!!」
「大丈夫、ちゃんとダミーを置いてきたから」
「何馬鹿言ってるんですか!!もう時間ないんですよ!!」
下の四人は魔力を極限まで高めるため精神統一をしている。邪魔はできない、早くどうにかしないと。
「馬鹿はひどいなー」
からからと笑う王女様を無視し窓から上を見る。速度が遅くなったように見えるが、未だに上昇を続けているところを見るとまだ時間はある。
「今ならまだ行けます!!フーを連れて早く!!」
「ここは危険じゃないよ」
人が必死に言ってるのに……ああ!!
「何をそんな呑気なことを!!馬鹿言ってないで早く!!」
つい声を荒げると、王女様は意外そうな顔をして言う。
「久しぶりに怒鳴られたなぁ……けど本当に大丈夫、ここは安全だって視えたから」
「視えたって……」
「わたしも行かないよーだ」
悪がきよろしく、おちょくる様に人の周りをくるくると回る酔ったちび妖精。
なんか電波的なことを言って頑なに拒否する王女。
頭痛がしてきた……もう知らん。
「もういいです!!せめて隠れていてください!!」
「「はーい」」
やたら元気のいい返事に二つの意味で頭を押さえながら上へと戻る。
「そろそろか…」
もういい、俺が壊せばいいんだから。
どうにでもなれ。
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