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「そのような理由で貴方にはまだ考える猶予があります。ですが、何時かは必ず仙道は貴方に接触してきます。その能力を求めて」
俺の能力というと…
「剣を呼び出す力です。使いには各々に固有の能力が与えられます。不老不死に気候を操る力など、その者に適合する力が与えられてきました」
だから俺は剣と……初耳ですな。
新事実がわんさか出てきて、若干の戸惑いを覚える俺にリンさんは情報を投下してくる。
「先に教えておきましょう。仙道の力は至極単純、驚異的な魔力です」
……ん?あれ、もっと凄いものかと思ってたけど。
拍子抜けしているとリンさんの目が厳しいものとなり俺を諌める。
「舐めてはいけません、魔力量はその者の純粋な力を表します。仙道があの人から逃れられたのもその強大な魔力があったからです」
「…わ、分かりました」
数回こくこくと頷くと、リンさんはニコリと笑いそのまま立ち上がった。
「今日はここまでにしておきましょう。そろそろ目覚める時間ですから」
「それじゃあ最後に、猶予ってどれくらいなんですか?」
その問いにリンさんは難しそうな顔になり、手を口に持っていき考えるポーズになる。
「…………そうですね、突飛な事態が起きなければ半年は大丈夫なはずです」
「そうですか、ありがとうございます」
「気になさらず。それでは行きましょうか」
促されるまま席を立ち扉の前に立つ。そしてリンさんが扉を開けようとした瞬間に脳裏に蘇る激痛。
反射的に半回転し扉に背を向ける。
ギギィと扉の開く音とともに影が異様なまでに伸びていった。
あっぶねぇ……
忘れてましたという言葉とともに、後ろからクスクスと笑い声が聞こえてくる。
確信犯じゃないかこれ?危うく目を潰されるところだった……
「それじゃあ俺、行きますんで」
顔を見て言いたいが仕方がない。これじゃあ見れん。
「ええ、また今度会う日まで」
「それでは」
別れの挨拶を終え、俺は目を閉じながらバック走で扉を駆け抜けた。
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