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「やっと見つけたー!!探したんだよまったく、この、このっ」
おてんば娘が背中で飛び跳ねるたびに腰が軋む。
痛い、折れてんじゃねぇかってほど痛い。
「何だ、ずいぶん元気そうじゃないか。どれ、私もっ」
床に倒れてる中、着物の裾が見えそれが跳んだ。
「やめ、おふっ、ゴフッ!?」
腰に鈍い衝撃が走る。
あ…もう…だめかもしれない……
「むっ?」
「あれ?」
俺の異変に気付いたのか二人がゆっくりと退いていく。
十秒ほど突っ伏した後、腰に掌を置き異常がないことを確認し、腰をさすりながら無言で立ち上がる。
自分達が悪事を働いたという認識がないのか、頭上に?を浮かべている二人の額に両手を向け
「くたばれっ」
思いっきりデコピンをかました。
「「っ!?」」
バチンッとデコピンらしからぬ音を立て、二人は同時に額を押さえしゃがみ悶え始めた。
ざまぁ。
「阿呆め」
若干スッキリしてると、後ろから呆れたような声。
「やりすぎだよ。フーちゃんも千夜も心配してたんだから」
その声の主に振り返り言う。
「だとしてもだ、腰にマックスの力で突撃したり肘から落ちて腰を粉砕しようとするやつに容赦はしない」
俺の意見も尤もだと分か
っているからか、ミーシャは苦笑する。
「それはそうだけど」
「だろ、それより」
彼女には言わなきゃいけない。俺のことを、まあ他が心配する質でないわけだが、一番心配してくれてたのだから。
右手をミーシャに向けると、俺の顔と手を交互に見て意味を理解したのか手を上げる。
だがその手は俺の手をすり抜け上空に掲げられ
「…へっ?」
俺の頬を勢い良く叩いた。小気味よい音が廊下に響き、中々の威力のそれに体がよろける。痛い。
「お礼の言葉なんていらない。だから心配かけた分はこれで許してあげる」
そう言い、にっこりと笑うミーシャの目から一線の滴が流れ落ち、申し訳ない気持ちで一杯になった。
誰かを失うことを怖れる少女にここまで心配させたのだから何も言えない。どう見ても俺が悪いのだから。
だがその様子を見ていたのか後ろの二人から非難する声が飛ぶ。
「なぜ私たちは攻撃してミーシャにはしない!?」
「叩けって意味じゃないけど……なんか不公平だよ!!」
言い分はわかる、だがな
「だまらっしゃい」
お前たちとは心配してくれた度合いが遥かに違うんだよ。
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