5171人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前たちが今日帰るとスフィアから聞いたからな。思う存分食え」
プリシスさんとフーにより空になった皿を持っていき、次々と新しく料理が運ばれてくる。
「すごい量ですね」
思わず息が漏れるほど並べられていく料理。この為に他のお客さんは来てないのか。
「はい、そこに置いて」
「あいよ」
手渡された料理を適当な場所に置く。黒マントのままだがミーシャが手伝うその姿を眺め、これが在るべき姿なんだと沁み沁み思ったり。
「さて、これで最後だ」
店長さんが鳥の丸焼きの載った皿をテーブルの中央に置く。
改めてみてなんともまあ食いきれる気がしない量で。そんな俺の表情を見て店長さんは豪快に笑う。
「俺にできるのはこれくらいだからな。腹が張るまで食え」
その言葉にミーシャはクスクスと笑う。
「大変だね、頑張れ、翔」
何を思ったか飲んでいたフレッシュジュースを一気に飲み干し、はいはいと手を上げるフー。
「私もまだまだ食べれるよっ」
正直フーの腹のどこにそこまで入るのか分からない。
「お前は……」
ふと、笑っている自分に気づいた。それはただ笑ってることを変に思ったのではなく、この感じが記憶に残っていたのだ。友人と居る時とは違う、少し静かで、それでいて安心できるこの感じを。
気づけば店長さんが急かすように顎で俺を指し、ミーシャ微笑みながらこちらを見て手を合わしてる。
急いで俺も掌を顔の少し下で合わし考える。家族になるために何が必要かなんて俺は知らない。書類を市役所に提出なんていう仰々しく手順を踏む形、ただ一緒に住んでいれば家族とする形。様々だと思う。
そして今からするこの行為も、行えば家族ってわけじゃないし、前からしていたわけなんだが、一番なんか家族っぽいと思ったり。
「それじゃ」
家族となった第一回記念と俺は思いつつ
「「「いただきます」」」
「……私もう食べてるよ?」
ホントこの子は……
最初のコメントを投稿しよう!