5171人が本棚に入れています
本棚に追加
ミーシャと顔を見合し、一緒にこくりと頷き席に座るや否やエアリィさんが声を上げる。
「帰ってきたら自分の足で元気な姿を見せに来る!!常識よ、常識!!それがなに、三日も来ないで。私が何度自分から行こうと思ったか……こっちの身にもなりなさい!!」
両手でバンッとテーブルが叩かれ、談笑してた人、一人ゆっくりしてる人、誰もがぎょっとした目で俺たち、というよりエアリィさんを見た。
憤りを隠せず叫ぶその姿は、何時ものんびりおっとりのエアリィさんとは正反対で。
「すみません……」
「ごめんなさい……」
思わぬ形で怒られ、言い訳もなく謝る俺たち。だが反省の色が見えたらしく、エアリィさんは小さく息を吐いた。
「…まあいいわ、元気に帰ってきたんだし許してあげる。それにミーシャもその姿で来たってことは……もういいのね?」
そう問われミーシャは笑顔で頷く。
「はい……もう、終わりましたから」
「そう…………ああ、駄目ね。年取ると涙脆くなっていけないわ」
顔を背け目元を拭くエアリィさん。全部知っていた人だからこそ、年の近い娘がいる身だからこそ、心配が絶えなかったんだろう。その姿を見ればどれ程心配してたのか想像に難くない。
「エアリィさん……」
「ん、もう大丈夫よ。それにしても……」
自然な動作でミーシャの首に手を持っていくと、エアリィさんは細い糸を引っ張り上げた。
「これも役に立ったようね」
ミーシャの服から現れたのはあの御守り。そういえば渡したままだったな、忘れてた。
「はい、これのおかげであたしはここにいれるんです。けど…」
大切ない物を扱うように、ミーシャは御守りを優しく撫でながら続ける。
「翔がいたから……私は終わらせることができたんです」
微笑みながら言うミーシャに、エアリィさんは満足気に頷く。
「君は見込んだ通りの男の子だったわけね」
「いえ、そんな…」
「ああもう、君、家の子にならない?」
両肘をテーブルに着け手を組み、そこに顎を乗せるという美人が映える格好で見つめられながら言われ少しどぎまぎ。これマジで言われてんのかな?
「その「駄目です。翔は私の家族ですから」……うん、そうなんです」
「あら、残念ね」
然程残念そうに見えない顔でそう言うと、エアリィさんは笑う。
これはおちょくられたのかね?
最初のコメントを投稿しよう!