帰宅のち日常

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「話は以上だ。もう行っていいぞ、ミーシャはな」 「あれ、俺は?」 「貴様は残れ。少し話がある」 「そっか、じゃあ先に帰ってるからね」 「あれ、ミーシャさん?」 バタンと無情にも閉められた扉。そして打って変わって無表情になっている凸凹姉妹。 「えっと……」 「そう固くなるな、ここからは仕事の話だ」 すっとレイアさんから一冊の書類が渡され、目で読めと促され一枚めくる。 「ふむふむ……戸神翔、突然現れた生意気な糞餓鬼」 ん? 「顔を見ていると無性に腹が立ってくる」 ん? 「人を見た目で判断する癖あり。だが戦闘能力は驚異的である。特殊な……なんですかこれ!?」 仕事何にも関係ない!!最初とかただの悪口!! 「あら、間違えたわ。本物はこっちよ」 「いやいやいや、これなんですかこれ!?」 「姉さんの人物日記なんだけど、似てたから間違えちゃった」 語尾にテヘッって付きそうなぐらいのいい笑顔。わざと見せたのかこの人は。いやそれよりもだ 「マスター!!俺のことこんな目で見てたんですか!?」 俺が問うも、何を怒ってるのかと理解できてないキョトンとした表情で。 「いや、まあ……そうだが?」 清々しいほど罪悪感ゼロ!! 「む?勘違いするな、それは初対面の印象であって今は違う。むしろ私は貴様を評価している」 「あぁ、そうなんですか…」 喜んでいいんだか、悲しむべきなのか、怒るべきなのか。もういいや。 「そんなことより早くその書類を見てみろ」 急かされ釈然としない中、パラパラと目を通していく。内容はミーシャが説明したのか、俺たちが戦ってた時の内容が詳細に書かれていて。 目が止まったのはある一ページ。仙道照之、その名を見て一瞬体が硬直した。 「やはりか……私がまず訊きたいのはそいつのことだ」 マスターはその変化を見逃すことなく問うてくる。 「それにはミーシャが一撃で気絶させられたと書いてある。疲労状態だったと書いてあるが、それでもあいつが一撃で気絶させられる姿が私には想像できない。そして襲撃の主犯であり現在は消息不明。もう一度訊く、そいつは何だ?」 背の差なぞ微塵も感じさせない、有無を言わせぬ圧力。レイアさんも真剣な瞳を俺に向けている。 この二人に即席の嘘なんて通用しそうがない。どうしたもんか。
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