帰宅のち日常

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シアが本当に美味しそうに食べるもんだから追加を頼み、食べ終わり今。 「依頼なんだけど、兄ちゃんに手伝ってほしいことがあるんだ」 ジュースを一口、最初と変わり神妙な面持ちでそう言う。なんかこの子を見てると無性に無償で手伝ってあげたい気持ちになる。そう思わせる力を持ってる気がする。 「うんうん、俺は何を手伝えばいいんだ?」 するとシアは急に顔を赤らめ恥ずかしそうに……あれ、デジャヴ? 「アリシア姉ちゃんに告白するの……手伝ってほしいんだ!!」 「お前もか」 つい口に出た。その言葉にシアは驚愕した表情で言う。 「え…俺以外にも姉ちゃんに……」 「違う違う。ミーシャ、ミーシャに告白するの手伝ってと頼まれたんだ。だからそんな絶望した表情になるな」 世界の終わりみたいな顔して、こっちがビックリだよ。 「あぁ、よかった……けどミーシャ姉ちゃんに告白ってすごいね」 「ああ、やっぱり?」 「うん、告白する人する人、みんな断ってるって。今では店長が無言の圧力をかけて迂闊に告白もできないって」 無言の圧力に迂闊って…… 「誰が言ってたんだ?」 「アリシア姉ちゃん」 こんな子供に黒い部分や難しい言葉を教えて……しかし俺に依頼が来たのはそういう理由からか。納得。 「まあいい、それより具体的に何を手伝えばいい?」 「えっとね、この街で有名な告白スポット兄ちゃん知ってるでしょ?」 「うん、知らない」 「それでね」 聞いてないのかこの子は。 「そこはたまに魔物が出るんだ」 「危ないなおい」 そんな告白スポット駄目だろ。何で成り立ってるんだよ。 「兄ちゃんには魔物が出た場合の退治と、そこにアリシア姉ちゃんを呼び出してほしいんだ。もちろん、俺が呼び出したってことは秘密で」 「ふーむ……」 なんとまあ計画的な子供だ。……しかし10歳の子供がこんな危ない話を考えるか?否、ない。シアなら尚更のことだ。 「シア」 「ん?」 「誰が入れ知恵したんだ?」 「え!?その……」 顔を背け躊躇いを見せるシア。やっぱり誰かいるのか。 「大丈夫、誰にも言わないから」 精一杯の優しい顔を作り訊くと、シアは若干引いたような表情でその名を言う。そして俺は大いに傷ついた。 「レイアお姉さんがこの前来た時……」 「ああ……」 貴女という人は。
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