帰宅のち日常

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「それでは、また明日おねがいします!!」 「うむ、了解した」 笑顔で店を出て行ったフィッツ君。告白の日時は明日の昼過ぎ、場所はシアの場所と同じということで。 最初は本当のことを言えばあまり気が進まなかったのだが、ここからは全身全霊で取り組ませてもらう。それがせめてもの罪滅ぼしだから。この手紙も大切に扱わねば。 「良かったね……と言うべきかな?」 走ってくフィッツ君を眺めた後、そうマスターはにっこり笑うと、二種類のサンドイッチが乗った皿を出してきた。 「これは……」 「朝から走り回っていたんだ。その様子だと朝御飯も食べてないのだろう。食べると良い、私の奢りだ」 「マスター……」 ……よし決めた、今日からこの人を心の師として仰いでこう。 この街の北から東にかけて、蛇のような形の大きな川が流れているのだが、どうやらそこが告白スポットのようで。 「ここから北に二キロほど歩いた場所にある小さな森を抜けた先。そこに一ヶ所、川の横に綺麗な開けた空間があってね。昔からそこで結ばれた二人はお互いを永遠に愛し合える。そういう言い伝えが残っているんだよ」 「それはまた…ロマンチックな話ですね」 日本にも似たような話はよくあったし、こういう話は世界共通ということか。地球に魔物はでないけど。 「私が知っているのはこれくらいだね。役に立ったかい?」 「それはもう、本当に有難うございます!!」 テーブルに頭をつけお礼を言うと、マスターは苦笑し、大袈裟だねと一言、食器を片づけていく。 ……格好良いなぁホント。 「あ、そうだ。マスター、昨日シアが食べたクッキーありますか?」 忘れてはならぬ約束。マスターも聞いていたのか軽く頷き、カウンターの下から丸く大きなバスケットを取りだした。 「子供はたくさん食べるからね。これぐらいは必要だと思って作っておいたよ。けど、少し代金は弾むことになるよ」 俺が買うと分かっているからか、面白そうに笑うマスター。 この感じは団長さんに似ている。とても安心するこの感じは…… まったく、敵いませんな、流石心の師匠。
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