帰宅のち日常

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「いやはや、青春だな」 「何を呑気に言ってるんですか」 何故かほっこり顔のハンクを睨む。丸く収まった感じになっているが全然そうではない、そう言いたげなレイアを見て、ハンクは残った酒を一気に飲むと渋みのある顔をして言う。 「子供のうちは悩めばいい。もしあいつらが上手くいかないときは俺たちが支えてやればいい。それが大人の役目だろ」 「…………」 良いことを言う、珍しく良いことを言う、だが釈然としない。 ジト目で自分を見るレイアを受け流しハンクは腰を上げる。 「さて、俺もそろそろ行くとするか。……まあなんだ、俺は邪魔だったか?」 「ええ」 目頭を押さえ即答。 「けど、助かりました」 顔を上げ優しく笑う。ミーシャが安心できる答えを自分が出せていたか、それを思えばハンクが来てくれて良かったのだ。 その答えを聞いてハンクは横一文字になっていた口から盛大に息を吐く。 「ぶはぁー!!そうか、助かったか。いやな、俺は五年ぶりぐらいにお前にぶん殴られるんじゃないかと冷や冷やしてたぞ」 あぁ良かったと胸を撫で下ろすハンク。意味を変えれば殴られるような言葉を吐いたということ。 (今からぶん殴るというのはアリかしらね……) そんな考えが頭に浮かび、右手を強く握り 「そんなことしないわよ」 それを収めた。 「そうかそうか。憂いは晴れたな。じゃあな、俺は行く」 「ええ、また」 歩いていくハンクの背中を眺める。昔と変わらず感覚でものを言う性格は変わっていなかったが、形はどうあれ助けられたのだから大目に見よう。 レイアは半分ほど余ったジョッキを手に、ずっとこっちを見ていたエアリィを見る。 その表情は全てわかっていますと言うぐらいのしたり顔で。 (全部聞いてたのかしら……って聞くまでもないわね) 自分の役目は終わり。だったら今日は娘と云うものについて語り明かそうとレイアはエアリィの待つカウンターへと足を向けた。
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