帰宅のち日常

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「それよりそれがケンカの原因だったんですか?」 「まあそんなところだが、もう終わったことだ。それよりもだ」 ハンクさんが俺の左肩に手を置く。 「翔っち、俺達もその依頼手伝ってやるよ」 右肩にはリックさんが。 「手伝うって?」 訊き返すとリックさんは言う。 「その系統の依頼は何回か受けたことがあるからな。翔っちのサポートをしてやろうってことだ」 「おお」 それは有難いかもしれない。経験者がいた方が良いに決まってる。というかホントに有名なんだなあそこ。 「それじゃあお願いします」 頭を下げると二人は無言でグーサインを出した。普段ギルドを騒がしてるけどこういう時は頼りになる先輩方だ。 「じゃあ明日の早朝にギルド前に集合ってことで」 「おうよ」 「任せとけ」 二人の力強い言葉を背に俺は外へ出た。これなら上手くいくかもしれない。 あとはシアに明日の計画を伝えるだけなのだが一つ気がかり。依頼内容をリークしたのが誰かということだが、マスターはありえない。 俺の心の師がそんな、信義に反する行為をするわけはない。だとすると一体誰かということだが…… 考えた結果、家のギルドは機密事項だろうと漏れるとこだったと思い出して、不思議と諦めがついた。 「シアを探すか……」 「いやぁ、面白いことになってきたな」 喫茶店でリックは珈琲片手ににやりと笑う。それに同意するようにハンクも頷き言う。 「情報が転々と独り歩きしてたようだがそういう話だったとはな。明日が楽しみだ」 悪代官よろしくクックと笑う二人を見ながらマスターは小さく息を吐く。 「私が口を出すことじゃないが、あの子の邪魔をするなよ」 「分かってますって。大丈夫っすよ」 リックの大丈夫に聞こえない返答にマスターはまた息を吐いた。何事もなく終わればいいが……そう願いつつマスターは仕事に戻っていった。
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