帰宅のち日常

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「すいません、遅れました!!」 汗を流しながらギルドに着くとリックさんにハンクさん、それにシアさえいた。 「遅刻だぞ兄ちゃん」 「すまんシア」 俺に鳩尾辺りにある頭を軽く撫でる。特におめかしするわけでもなく普段の格好で何も持っていなかった。しかしこの落ち着きよう、やるな。 「さて、翔っちも来たことだし行くか」 歩き始める俺達とは違う方向に向かうハンクさん。 「あれ、どこに?」 「魔物が出るとは思わんし、アリシアをどうにかできるクラスが出るわけもないが一応な。気にするな、安全のための下準備をしたらそっちに向かう」 そう言うと西の方へと歩いて行った。 「そういうこった。さ、行くぞ」 リックさんを先頭に俺たちは北の検問へと向かった。 「おお……ここが……」 のろのろと雑談しながら野を歩き、森の草径を進んでいき、蛇とか蛇とか色んなものから逃げつつ何とか辿り着いたそこは流れの速い川の畔だった。 5×5の正方形の草木も何もない空間に、周りは鬱蒼と木々が生い茂っている。人の手で整地したとしか思えないほど境がくっきりしていた。ロマンチックの欠片もないなおい。 「明らかに人が手を施してますよね?」 「さあ、俺が初めて来たときもこんなもんだったしな。それより二人ともこっちに来い」 はぐらかす様に話題を変え、リックさんは左の茂みへと足を踏み入れていき瞬間、姿が消えた。 「え、ちょ、リックさん!?」 驚き、俺も追うように一歩踏み出すが足が空を切る。 「おっ!?――――――っぁ!?」 そのまま下に落下し盛大に腰を打った。痛い、声が出ない。 「くはっ、やっぱそうなるよな」 「っ……リックさん?」 笑い声に横を見れば胡坐をかいた格好でリックさんが座っていた。 「これは……?」 「隠れ穴だ。ここで告白を見守ることができんだよ」 周りを見ると深さ1メートル半ほどでこの状態であと一人は優に人が入れるスペースがあった。盗み聞き場ってとこか。 「野暮なもんですね」 「けどよ、楽しいだろこういうの」 否定はしない。
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