帰宅のち日常

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「「「言ったぁっ!!」」」 極力小さな声で叫ぶ男が三人。俺たちみんな下衆いな。それに引き替えシア、なんと男らしい堂々とした告白。 率直に、想いを込めたひと言……俺も見習わなきゃな。 しかし最初の俺がどうたらとはどういうことだ?まるで俺が告白するとアリシアが思ってたみたいだったが……気のせいか? 向こうから声は聞こえてこない。返事を考えてるのか。 「いいねぇ、青春だねぇ」 「お前も十分に下衆だな」 横で大人二人がニヤニヤと喋るが、穴からの微かな声に一斉に耳を付けた。 翔たちが盗聴してるとは露知らず、アリシアはシアへと一歩近づく。 「シア、私もあなたのことが好きよ」 「!!…じゃ、じゃあ」 「けどね」 シアの喜びは一瞬でかき消される。 「それはやっぱり家族愛なの。私はシアのことを実の弟のように思ってる。ほかの皆もそう。だから、あなたの気持ちには答えられないわ」 シアの目を見て、はっきりと言い切った。曖昧な言葉は必要ない、自分の気持ちをしっかりと伝えることが礼儀。それが子供であろうとも。 アリシアの答えに俯き泣きそうになるシア。失敗した、その言葉がシアの頭の中を飛び交う。そんなシアにアリシアはもう一歩近づきしゃがむと 「話はまだ終わってないわよ」 優しく抱きしめた。 「えっ……?」 疑問の嗚咽を上げるシアの耳元でアリシアはゆっくりと語りかける。 「今まだ考えられないだけ。シアがこれから大きくなって、それでも私のことを好きでいてくれたら……その時は、ね」 ぽんぽんと軽くシアの頭を叩く。宥められてるようで、その気恥ずかしさにシアはアリシアの腕をはがし離れると目元を拭い声を上げる。 「聞いたからね、絶対だよ!!俺は絶対姉ちゃんのこと好きでいるから!!忘れないでよ!!」 シアの言葉にアリシアは微笑み、静かに頷く 「ええ、忘れないわ。絶対に」 日のもとで二人は微笑む。一時の静寂、川の流れだけが音を奏でる中、それで終われば良かったのだが、アリシアは切り出す。自分の勘を信じて。 「ねぇ、シア」 「うん?」 「この森のどこか……この近くに―――――― 翔さんはいるかしら」
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