帰宅のち日常

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ミーシャの言葉にフィッツは意を決する。震える声で、長年の想いを言葉にする。 「あの、僕……昔から貴女のことが好きでした……」 ミーシャは何も言わない。柔らかな表情のままただ静かに聞いている。その表情にフィッツは切なげに、何かを悟ったような表情になり言う。 「明るくて、誰にでも優しくて……ただ遠くから見てるだけで良かった……けど、戸神さんが現れて貴女は変わった……」 「え?」 急に出てきた翔の名にミーシャは驚く。だがフィッツは戸惑うミーシャをそのままに続ける。 「お店に行ったとき…怒ったり、笑ったり…戸神さんと喋っている時のあなたは本当に楽しそうで……」 声が震える、声が出せないほど胸が苦しくなっていく。今までの何かが壊れていく音が聞こえてくる。挫けそうになる、だがこれでは駄目だと自分に喝を入れフィッツは喋る。 「先日…貴女と戸神さんを見たとき……今まで見たことがないような…自然な笑顔で……分かっちゃったんです……僕が入る隙はないって……」 嗚咽が声に混ざりはじめる。思い出が色褪せていく感覚に襲われながらも、最初から決めていたことだとフィッツは声を振り絞る。 「ですからっ……僕…決めたんです。卒業しようって……もう終わりにしようって……だから、これが……僕の告白です」 フィッツは一歩後ろへ下がるとミーシャへと目を向けた。これで、これで最後だと、その頬を涙で濡らしながら勢い良く頭を下げ、これまでの思いの丈を伝える。 「今まで!!……今まで……好きでいさせてくれて……ありがとう…………ございました」
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