帰宅のち日常

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―――――― 翔は三十分以上ただ突っ立っていた。そしてどうすることもできなく空を眺めていた時だった。 「何を怒ってたんだよ……ふぅ…………お?おお?」 唐突に揺れ始める大地。それにより直立状態だった翔は勢いよく地面に倒れた。 「おふっ!?……いってぇ…何だ今の揺れ……ん?」 疑問に思うなか、目の前で横一メートルほどに穴がもこもこと盛り上がっていく。そして見えてきたのは七本の角。 「まさか……」 そして土を撒き散らし姿を現したのは総勢七匹のモグラ。その一匹の頭は少し腫れていて。 そう、翔がいじめていたモグラが仲間を引き連れてきたのである。 七匹は等間隔に並ぶと翔の体を川へと向かって押し始めた。 「お、おい…まさかお前ら……やめ、うぷ…やめろおい」 翔の言葉なぞ聞く耳持たず、モグラたちは角を器用に使い翔を転がしていく。 「おい、やめ、やめろって!!落ちるから!!俺落ちるから!!」 叫び空しく、モグラたちは止まることなく翔を川の縁まで持っていくと 「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 角を一斉に振り上げた。 「ああああああああああああああああああ―――――」 空高く二メートルほど翔は打ち上げられ、そのまま真っ逆さまに川へと落ちていった。 ザバンと盛大に水しぶきを上げ直立姿勢で浮かび上がってくる翔。手足が吊っていて身動きは取れず、その体は流れに勝てるわけもなく流されていく。 「お前ら!!あっぷ……ぷはっ、覚えてろよ!!あっぷ……絶対、うぷ、絶対仕返しに来てやるからなぁっ!!」 やられっぱなしの悪役のように負け犬の遠吠えか、小さくなっていく翔の姿を眺めながら、モグラたちは大層機嫌良さ気に角をリズミカルに動かし続けた。
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