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一方、翔が下流へと流されてるとき、その頃アイリス城はというと――――――
城内の一室にはリンゴをほおばるフレリアと、手紙を読むソフィアの姿があった。
「フーちゃん」
「ん?」
「これを渡すように頼まれたの?」
「うん」
「ふーん……」
ソフィアの手元には二通の封筒。一つはお礼の手紙、そしてもう一つは……
「人のラブレターを関係のない私に送るのは神経を疑っちゃうなぁ……」
そう、フィッツのラブレターである。もし冗談で送ったのでないなら、いや、冗談だとしても質が悪い。
だが翔がそんなことするような人かと聞かれればソフィアはまず首を横に振るだろう。そんな人には到底思えないと、感覚の、けど確かな理由があった。
そこでふと気になりソフィアはフレリアに尋ねる。
「本当にこの二通なの?もしかしてこっちはミーシャの部屋のドアの下に挟まってたとか……」
適当に言ってみたがこれがどうして。
「うん、ミーシャのドアの下に引っかかってたから持ってきたんだ。何でわかったの?」
「…………」
凄いねと驚くフレリアに何も言えなかった。それ持ってきちゃいけない手紙だよとか、大変な事したよとか、怒られるよとか、言えなかった。
ソフィアはもう一度手紙を読む。予定された時間はとうに過ぎている、もう遅い。
ソフィアは手紙を閉じ立ち上がると、自分の机の引き出しを開け丁寧にそれを仕舞った。
ばれたらフレリアが怒られるだろう、なら墓場までこの事実は持っていこうと。
「……フーちゃん、外に出かけない?」
「いくっ!!」
お礼の手紙は机の上に広げられたまま、二人は部屋を出た……
一方王子ことクラウドはというと――――――
「……良しっ」
一人自室で翔の報告を一通り読んだあと、グッと腕を引き喜びのガッツポーズをしていたとか。
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