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「それでは、私はそろそろ帰ります。フレリアの事、よろしくお願いしますね」
「はい、任せてください」
「ふふ……一つ、聞き流してもらっても構いませんが、ここを超えた先の山に微かに特異な魔力反応がありましたよ」
「っ!!それって……」
「また、お会いしましょう」
そしてメルディアさんは空高く上がっていき、辺りに転々と存在する星々に紛れ姿を消した。
最期の言葉はつまり、極彩鳥が向こうの山にいると判断していいんだろうか?
……いや、性格的に考えてそういうことなんだろう。明日はあっちを重点的に探すか。
「しかし、まだ探してるのかねぇ……」
夜も更けてきたがまだフーは帰ってこない。
任せられるってのは嬉しい反面、責任がのしかかる。フーもいつまでも家出をしたままではいられない。さりげなく帰宅を促すのが常識なんだろうが……
「分からん……」
その場に寝そべり思考を放棄してると暗闇から声。
「まだ寝てる……」
何処か呆れたように、木々の奥からフーが姿を現した。
「ん、起きてるぞ。取りあえずお帰り」
「うん、ただいま……じゃないよっ!!翔がそんなんじゃいつまでたっても見つからないよ!!」
どうやらご立腹らしい。これは全部おれが悪いな。
「ホントにすまん。あと話は変わるが良い情報を手に入れたんだ」
「翔、本当に反省してる……?」
誠意が感じられなかったのか、ジト目で見られ俺は数度頷く。
「うーん……許す。で、情報って?」
訊き返され隣接する山の方角を指差す。
「あっちに極彩鳥の反応があったらしいってこと。だから明日は向こうで登山だ」
「ふーん……」
私がこの山を探したのは意味なかったのとか、怒られるかと思ってたがフーは別の事に意識が向いてるようで。
俺たちのいる場所を一通り見渡して俺を見つめ言う。
「ねぇ、その情報って誰から聞いたの?私の知ってる人?ううん、人なの?」
「え、いや、どうした急に」
「いいから」
稀に見る、というより初めて見た。フーがこんなに鬼気迫る表情をするのは。
「いやいや、人だよ。お前の知らない人だよ。いやちょうどね、偶然聞いたん「翔、嘘つかないで」…………」
いやさ、そんな悲しそうな表情されたら隠せないって。すいませんメルディアさん、無理ですわ。
「実は……―――――」
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