日常のち誕生日

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「そんな希望を持たせるようなことを言いなさって。エインさんがやらなくても俺達で十分な奴っすよ」 「その通り。いや、ホントその通りだ。エインさんが手を煩わせる必要はないですよ。俺達がやっちゃいますよ」 勝手に話を進め、同じ動作で武器を取り出す双子。さすが双子、同じように血の気の多い。いや、本当に双子か分からんけど。 男性を見るとこうなると分かっていたのか、ふぅとため息を零し、後ろに下がっていき言う。 「止めるか、いや止めない。好きにすると良い」 「へへっ、すみません」 「そういう事だ餓鬼。妖精の責任は召喚使の責任だ。礼はさせてもらうぜ」 「…………」 「はっ、ビビッて声もでねぇか」 「安心しな、手加減はしてやるよ」 うーん、駄目だ。良い手段が思いつかない。逃げるわけにもいかない、それに双子のどっちかにはぶん殴られた記憶もある。喧嘩と思えば……まあいいか。 「お?何だ、一丁前に構えて。やる気か?」 「急に粋がりやがって、餓鬼は謝る準備でもしてりゃあ……あ?―――ゴフッ!!!?」 鳩尾への一発で倒れ込む双子の片割れ。けどよく見たらこっちじゃないっていう。 「へへっ、兄者、そんなサービスいらないぜ。ほら、さっさとこいつをって……兄者?」 起き上がらず呻き苦しそうな声を漏らす兄。ってかホントに双子だったのか。 「馬鹿な……あ、兄者が一撃で……」 呆然自失というやつか、信じられぬと言った様で固まる弟に近づく。さて、俺を殴ったのはこっちだな。泣き黒子が何よりの証拠。 「俺もお礼はする質なんで。お返ししますよ」 「な、何だよこの餓鬼は!?エ、エインさん!!」 後ろに助けを求めるが、その答えはノーだった。 「助けるか、いや助けない。人を見た目で判断するな、何時も言っていることだ。その身で学べ」 「そ、そんな」 了承も出たらしい。しかし体で学べとは厳しいリーダーだ。 「ドンマイっすな。弟さん」 俺がほくそ笑むと安い挑発にまんまと乗り弟が武器を振りかざし突進してきた。 「く、糞餓鬼がぁぁぁ!!死ねぇぇぇぇぇぇ!!」 振り下ろされる巨大ハンマーをスルリと躱し、狙うは兄と同じく鳩尾。 「チェストォォォ!!」 「―――ガハァッ!!!?…く…そ……が…………」 そして倒れ方も同じく、しかし弟の方は気絶した。 うん、すげぇスッキリしたわ。
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