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問われ、導き出された答えは至極明快であった。
この世界で、極彩鳥に出逢うことは一生に一度有るかないか。それを求めることは、何ら不思議ではなかった。
自分の出した答えに、ミーシャは乾いた笑いを零す。
「はは……そうだったんだ。それじゃあ、仕方ないね。うん、極彩鳥は私だって一度は見たいもん。うん、仕方ない…よね……」
仕方ない、仕方ないと、最後は、自分に言い聞かせるように呟くミーシャに、叔父は大きく息を吐き目の前まで近づくと
「馬鹿たれっ」
「っ!?」
脳天にチョップをかました。
何が起こったのかと、目を白黒させ涙目になっているミーシャに叔父は言う。
「どうしてお前はそうネガティブに考える。……まったく、あいつ等はな、お前の為に極彩鳥を探しに行ったんだ」
「……え?」
突然の事実に、理解しきっていないミーシャに叔父は続ける。
「極彩鳥の羽をお前にプレゼントするために、あいつ等は山に向かったんだ」
「な、なんで……」
「何でも何もあるか。翔はな、お前に喜んでもらいたくて行くことを決めたんだ。フレリアもそうだ」
「…………」
それが真実なら、真夏の登山は全て自分の為。三日も前から出発し、尚も探し回っているのかもしれない。
極彩鳥が旅立ったのも知らないで、今この時も。
汗を流しながら、一生懸命に走る少年の姿が目に浮かんだ。少女の妖精が、木々の間をひたすらに飛んでいる姿が想像できた。
ミーシャは思う。
自分はまた、勝手に勘違いをするとこだったと。
少し考えれば分かることだった。何時だって、二人は自分の事を考えてくれて……一緒に悩んで、共に喜び、笑いあえる、大切な家族ではないかと。
改めて二人の優しさに触れ、ミーシャは、ただ、嬉しかった。胸が一杯になり言葉に表せないほど、嬉しかった。
その暖かさが、途方もなく懐かしく、嬉しかった。
「まあ、何だ……帰ってこないとは思わなかった。意地になってるのかは知らんが行かせた俺にも、お前を不安にさせた責任はある。すまな……ミーシャ?」
「……え?」
気付けば、頬に一筋の涙が流れていた。
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