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「それにしても、また、力を使ったんだね……」
一向に起きる気配のない翔の状態に、ミーシャは複雑な面持ちで呟く。
力の事を知っているからこそ、あまり使って欲しくはなかった。それは叔父の葉巻以上に、翔を死へと近づけ得るものだから。
「ほんとに、翔が一番無茶するんだから」
呆れたように笑い、フレリアを片手で抱きしめたまま、ミーシャは翔を起き上がらせる。
その時、翔の懐からひらりと何かが落ちた。
影に落ちたそれを拾い上げ、月のもとに照らす。
「……綺麗」
言葉が漏れ、吸い込まれるような美しさに目を奪われる。綺麗、その言葉以外にそれを表す言葉が見つからなかった。
月明かりに照らされ、幻想的なまでに、その羽は七色に輝き煌めく。
「これが……極彩鳥の羽」
どんな宝石よりも、綺麗だと思った。とても眩しく見えた。
「ありがとう、二人とも……」
大切な家族からの贈り物だからかもしれない、とても珍しいものだからかもしれない。それでも、今までのどんな贈り物よりも、暖かく、嬉しかった。
しかし、ミーシャはただ一つ、不満を口にする。
「けど、今度は……一緒に過ごしたいかな」
聞こえていないのは分かっていても、ミーシャは語りかける。
「また来年……その時は……」
ミーシャは若干頬を赤らめ、ゆっくりと翔の頬へと顔を近づける。
そして、その唇を、翔の頬に――――――
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