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おじさんは私を見つけると、笑みを浮かべ指を向けてきた。
「あ、あの部屋だ!!あの二人だって!!」
ズラリと、複数の目が、私達を捉える。そして若い兵士が一人、階段を上がり始めた。
逃げるべきだった。けど、笑えるくらい足がいうことを聞いてくれず、私はレイアを突飛ばし遠ざけることしか出来なかった。
兵士が目の前に立ち、脇下に手を入れられヒョイと持ち上げられる。
「は、離してっ!!」
「お、お姉ちゃんっ」
形振り構わず手足をばたつかせた。その手が何かを引っ掻く感触。そして怒鳴り声が体を駆け巡る。
「危ないだろ!!大人しくしてなさい!!」
「ひっ……」
一瞬で、抵抗も出来なくなった。私は、妹一人守れない……無力だ、約束したのに……お母さんと……
「えっぐ、ひっく……うぅ…………」
「ちょっ、なに泣かしてるんだ!?」
「あ、いや、階段で暴れるものだからつい……」
おじさんと兵士が何か言ってる……なんでなの……おじさん……
「ほら、泣くなって。大丈夫だから気にするな」
おじさんの前に降ろされ、よしよしと頭を撫でられる。訳が分からないよ……何も大丈夫じゃないよ……捕まったら私達は終わりなんだよ、おじさん……
「なんで……おじさん……
……私たち、ぐすっ……お父さんの所まで……連れてってくれるって……」
何も分からなかった。分からなくてただ、縋るようにおじさんの服を引っ張った。
全て嘘だと言ってほしかった。全部、夢だと思いたかった。
その時だった。私の左から聞き覚えのある声が響き渡った。
「ほら見なさい!!この子の言葉が何よりの証拠じゃないか!!あんたが人拐いのさ!!」
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