誕生日のち出会い

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―――――― 荷物をがさごそ、カラムは忙しなく手を動かしながら言う。 「かぁー、朝から面倒臭い事に巻き込まれちまったなお互い」 会話を振る意味合いもあった。だが振られた二人はと言うと 「「…………」」 正座のまま俯いていた。自分たちの勘違いを素直に話し、仕方ないと許されたのに、姿勢を崩すことはなく。 「お前ら……あの状況でお前たちの立場だったら、俺だって勘繰るし疑う。だから、いい加減にしろ」 「でも……」 「私たち……」 朝も早いというのに、今日何度目かのため息を吐く。このやり取り、五回はしてるぞと。 埒が明かないと、マルクは荷を背に担ぎ立ち上がる。 「ほら、早く立て。のんびりしてたら次の宿まで着けないからな」 二人の横を通り過ぎ扉を開け、だが、二人は未だ立ち上がらず。カラムは呆れを通り越して感心した。とことん真面目な姉妹だと。 「分かった分かった。謝りたいならそれでいいから続きは馬車に乗ってからにしてくれ」 降参したように手を上げ頼むように言った。 だがそれでも立ち上がらない二人に、訝しむ視線を向けると姉妹は揃って辛そうに目を向け言う。 「「足が痺れちゃって……」」 「……早くしろ」 何も言う気になれなくなった。 足の痺れも取れ、階段を下り、カラムが宿泊費を払おうとした時だった。金を出そうとしたところで、若い宿の主人がそれを押し返す。 「金はいい。私の母があらぬ疑いをかけた侘びと思ってほしい」 そして、食堂から人影 「本当にすまないと思ってる。あたしの勘違いで、お嬢ちゃんにも嫌な思いさせて、悪かったね」 心からの謝辞だった。スフィアはそれに対し首を振る。 「大丈夫、気にしてないから」 その言葉に安堵の息を吐くと、宿主の母は姉妹を改めて眺め言う。 「それにしても……本当に綺麗で可愛い姉妹だね。さっきの発言は無かった事にしてほしいよ。あたしなんか比べ物にならない程、お嬢ちゃんたちのお母さんは綺麗なんだろうね」 「っ!!……」  カラムは姉妹を見る。 だが、スフィアとレイア、二人の表情は思っていたものとは違い、とても嬉しそうで。 「はい、とっても優しくて」 「とっても綺麗でした」 それが過去のものと、気付くのは事情を知るのはカラムのみ。運び屋はただ、黙っていた。
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