誕生日のち出会い

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言われて見ると中心付近に初代と、その隣に座るレイアさんの姿があった。他の人も騒いでいて、もう祝いが始まってる雰囲気さえある。 「えっと、俺はどうすれば?」 「適当な席に座ればいい。ただ、もう用意されてるようだがな。さて、私も行くとするか」 それだけ言うと、マスターはテーブル群に突入していった。 「ふーむ……」 取りあえず、遠巻きに円を回るように歩いていく。指定席がある様なこと言ってたけど、何処で……「翔、こっち、こっちだよ」 「ん?」 俺を呼ぶ声に目を向けると、円の外側のテーブルの一つに動く猫耳と振られる手。 呼ばれるままにそのテーブルに向かうと案の定、ミーシャが変わらぬ赤のチャイナ服と共に座っていた。そしてその対面も見知った顔と見知らぬ顔が 「翔さん、どうもです」 「ほれ翔っち、早く座れって」 「なあ翔、引っ越し終わってギルド登録に来たんだが……何が起こってんだ?」 上からアリシア、リックさんに、そして何故か俺の名を呼ぶ白髪でフード姿の女性が座っていた。 「ああ、はい……で、貴女はどちら様でしょうか?」 座りながら対面に位置する女性に尋ねると、絶望した表情を向けられた。 それを不自然に思ったのかミーシャが訊いてくる。 「翔の友達って聞いたんだけど……違うの?」 「いや、うーん……やっぱ知らない」 申し訳ないけどほんとに知らない。けど、その言葉で憤慨したのか女性がバンッとテーブルを叩き立ち上がる。 「俺だよ、八尋だって!!友達を数時間で忘れるな!!」 やひ…ろ……?八尋?はい? 「俺の知ってる八尋はそんな高い声出さない」 「いや、信じろって!!」 「そもそも八尋は男」 「ああもう!!猫派でタケノコ派!!これでどうだ!?」 え……まさか…… 「マジで八尋なのか……?」 「判断基準がおかしいぞ」 若干呆れたように、八尋?が席に着く。その顔をよく見れば、確かに面影が無くもない。 「そんな趣味があったとはな、驚いたよ」 「違うって!!俺はそういう種族なんだよ。知った上で助けてくれたかと思ってた……」 しょんぼりと、八尋は期待が外れたように項垂れる。なんか勘違いが発生してたらしい。 「すまんな、疎いんだ俺」 この世界の種族とか多すぎて覚えられないし。
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