出会いのち妖精界

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「……え?」 一瞬、フレリアは自分の耳を疑った。 人の家庭の事情においそれと口を挟めないのは当たり前。それでも、自分を何度も救ってくれた少年ならと期待していた。 助言を、答えを与えてくれると、勝手に信じていた。 だが、目の前の少年は確かに言った、『分からない』と。何も責めることは出来ない、言ってしまえばその通りであろう普通の答え。 そうは理解していても、気落ちしてしまうのは仕方がなかった。茫然として暫し、フレリアは視線を下げ乾いた笑いを浮かべた。 「あ、はは……そうだよね。私の問題だもんね。ごめんね翔、変なこと訊いちゃって」 そのまま浮かび上がり、扉の取手を掴もうと手を伸ばしたところだった。 サッと眼前に手が現れ、それは遮られた。 驚き振り向くフレリアに翔はチョップを一回、頭に入れて言う。 「こら、毎度早合点し過ぎだ。分からんとは言ったがな、何もしないとは言ってないぞ」 「……え?だって……」 「俺はな、父さん母さんが死んでから親子喧嘩なんて体験してないから仲直りの仕方は良く分からん。複雑なら尚更だ。けどな」 翔はフレリアを掌の上に乗せ、もう一度その瞳をしっかりと捉える。 「フーが『助けて』って言えば、俺は全力でフーを助ける。出来ることは少なくても、精一杯これでもかって程に手伝ってやる。それが家族ってもんだろ」 言い終えニカッと笑う翔に、つられてフレリアも微笑んだ。 改めて、分かった。翔はそういう人だと、一緒に隣を歩んでくれる人だと。 それが自分の親友だと。 フレリアは無性に嬉しくなり、思うがままに翔の首もとに飛び付いた。 「翔、大好き!!」 「おおう!?どうした突然!?ま、まあ、俺も好きだぞ」 フレリアは家族として、翔は父兄のような思いで、抱き合い、想いを述べる。 そして数分、フレリアの頭を撫でていた翔が不意に尋ねる。 「それで、助けは要るのか?」 「……うん、助けて」 「そっか、で、俺は何をすればいい?」 「それはね……」 一旦、フレリアは翔から離れ、両手を胸元に持っていき言う。 「私と……私と一緒に家まで…… ―――妖精界まで来てほしいの」
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