出会いのち妖精界

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部屋では二つの表情に別れていた。スフィアと初代は納得した風に、翔とフレリアは意外そうなもので 「……フー、どうだ?」 「うん、私は良いよ。みんなで行った方が楽しいもん」 本当に楽しそうにオーケーを出すフレリア。当事者が本気で旅行気分になっているのはどうかと翔は思い、けど口にはしなかった。 その代わりという風にフレリアが口を開ける。 「けど、リックはなんで行きたいの?」 「ん?気になるか、チビッ子」 「……やっぱリックは来ちゃだめ」 「はは、冗談だって。……そうだな、フィアと同じ様な理由さ」 チラリとスフィアを見てリックは笑う。 それに応えるようにスフィアもニッと笑った。 二人が出会い、最初に話した話題。それは妖精界についてだった。互いに年少の頃から想いを馳せ、願わくはと望んでいた世界が今、手が届く所まで来ているのだ。 嬉しくないわけがなかった。 ただ、翔とフレリアは揃って首を傾げるのだが。 そんな二人に、リックはもう一人、自分と同じくらいに並々ならぬ想いを抱いている少女の名を上げる。 「翔っち」 「何です?」 「あと一人。彼奴も……アリシアも連れてっちゃあくれないか?」 新たな旅仲間?を増やし、翔とフレリアは次の仲間?と話をするため教会の前までやって来ていた。 「さて、行くか」 「うん」 扉を開け、向かうはリビング。慣れた足取りで奥へと進みノックを二回、戸を開く。 「はーい……あれ、翔さん?それにフレリアちゃんも。遊びに来てくれたんですか?」 洗い物をしていたのか、捲っていたシスター服を直しつつ、突然の来客にも笑顔で迎えるアリシア。 曖昧に「そんなとこ」と返事をする翔たちをテーブルへと案内し、食器棚に向かいカップを3つ取り出す。 「いつもので良いですよね?」 「ああ、うん」 「けど、すみません。シア達は街に遊びに出てるんです」 アリシアはポットに湯を入れながら苦笑混じりに謝る。 「謝らなくていいって。突然来たのはこっちなんだし」 「それでも……あっ、代わりというのもあれですけど、私が遊んでもらっても良いですか?この前、リックさんから頂いた遊戯物があるんですよ」 両手を胸の前でパンッと合わせ、瞳を輝かせて提案するアリシアに、翔は興味を引かれ本題を忘れて頷く。 「オッケー、面白そうだ」
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