出会いのち妖精界

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しんと、部屋が静まり返る。リックから絶対頷く筈との言葉をもらってのその返答は翔も予想してなく面を食らった。 そして何より、行かないと言ったアリシアの決意の目に怯んでいた。 理由を訊くのは避けるべきと頭が囁くが、翔はどうしても気になりおずおずと訊く。 「えっと、その、何でか訊いてもオッケー?」 軽く訊いたのが功を奏したのかは分からないが、アリシアは少しして口を開けた。 「お誘いはとても……とても嬉しかったです。けど、生活費の為のクエストに向かうでもなく、自分の欲のために子供たちを置いてく事は私には出来ません」 アリシアはシスターとなったその日から、今度は自分の番だと決めていた。エクシリアの跡を継いで、子供たちを育てていこうと。 だから、幾日かも分からない旅に出掛けるわけにはいかなかった。子供が重荷と言うわけではなく、赦されない、否 「そんなことをすれば、私は……自分を赦せません」 子供を残して遊びに赴く、それは言語道断。それがアリシアの考え方だった。 翔も、間違ってない人の考え方に文句は言えない。それでも一言だけ言いたかった。 「りょーかい。けど、偶になら自分のしたいことしても良いんじゃないかと、俺は思うけど」 翔の言葉に、アリシアは苦笑しながら言う。 「すみません。けど、こんな考え方しか出来ませんから」 「そっか。それなら仕方無い」 そうして話が終わろうとした時だった。何処からともなく、また声がした。 『それなら、心配しなくてもいいわよ』 微風ではなく強めの秋風が室内に吹いた。そして階段の手摺に一人の女性の姿。ゆっくりと段を降りながら女性は続ける。 「私がアリシアの代わりに子供たちの世話をするから。どう、それなら良いでしょ?」 フフンと、不敵に微笑むレイアに翔は苦笑い。そしてアリシアはというと。 「そ、それでも私は……」 苦し気に渋るアリシアに、レイアはさも忘れてたかのように言葉を付け足す。 「ああ、そうだったわ。子供たち代表のシア君から伝言よ。『アリシア姉ちゃん、俺達の事は気にしなくていいから。目一杯楽しんできて!!』ですって」 「…………!!」 驚きを露にするアリシアに、レイアは優しく語りかける。 「気負うのも良いけど、少しぐらい羽目を外すことも必要よ。貴女は頑張ってるんだから、遊んだってバチなんて当たりはしないわよ」
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