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女の子達は4人いた。
少年よりも学年が1つ下の2年生だ。
1人は手を叩き笑い
1人は指を差し笑い
1人は煙草を吸い
1人はジッと少年を見つめていた。
煙草をくわえた女の子が
「テメー煙草チクったら、どうなるか分かってんだろうな。」
「大丈夫だって真理奈。どうせ、あいつ喋れないもん。」
ただ紅葉の木を見つめていただけの少年は酷い言われようにビクビクしながら女の子達に背を向けた。
「邪魔なんだよ。早く消えろよ。」
言い返すこともせずに少年は正面の石段を1歩1歩おりた。
3歩降りると踊り場のように少し広くなっている。
そこで立ち止まった。
女の子達の会話が聞こえてきたのだ。
「あいつ、私らと小学校も一緒で前から喋らないんだよね~。
友達もいないし暗すぎんだよ。
んで名前が和也だからカスヤって呼んでんの。」
「ひど~い。真里奈。」
「うけるっしょ。
カスにはぴったりじゃん。」
あんなのに関わったらロクな事がないと思い残り10段の石段を降りた。
足どりは重たかった。
女の子の口から吐き捨てられたような言葉が胸に刺さった。
無関心だったはずなのに。
心の底から沸き上がるような感情は怒りなのか、悲しみなのかも分からず気持ちの整理がつかないまま帰路についた。
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