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二人はアパートで同棲をしている。
築年数は新しくないが二人で暮らすには十分な広さだ。
和也の仕事はwebデザイナーである。
小さな頃から得意だったパソコンの技術を活かし高校を卒業後に大きな会社に就職をしデザイナーをしていたのだが、一つ年下である亜季の体調の事もあって21歳の若さでフリーになり自宅で仕事をするようになった。
口に出してこそ言わないが、和也のその目に見えない愛情が亜季には安心と同時に負担になっているのではないかという不安を与えてくれる。
それでも亜季は知らず知らずのうち和也に甘える事に慣れてゆくのである。
今日は4月8日。
二人にとって特別な日なのだ。
「また こうして一緒にいれる事が嬉しいよ。」
和也と亜季が付き合って5年目の記念日。
今日撮った写真を見つめながら
「写真・・200枚近くになったね…」
少し淋しげな表情の亜季は小さな声で言った。
「心配するなよ。もう忘れる事なんてないさ。
俺と亜季が二人で過ごした時間は嘘になんてならない。
何があっても俺は亜季の側にいるよ。
今までのようにこれからもな。」
和也は亜季の淋しさを吹き飛ばすように明るい声で言った。
「和也さん ありがとう。」
和也の優しい手は亜季の頭を撫でた。
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