0人が本棚に入れています
本棚に追加
27歳になった。今、気づいた。私は今日、誕生日だ。「自分の誕生日ぐらい、覚えてなよ。」
目の前で、オムライスを食べながら千葉君が言う。
「昔から、石榴さんは自分に無頓着だったよね。」
確かに、私はよく自分の誕生日を忘れた。
特に祝ってくれる人がいるわけでもなく、むしろ忘れていたかったのだ。
それで、今日もこうして千葉君と会うまでは忘れていた。
もともと、映画を見に行く予定だったのだ。
私には珍しく恋愛ものだった。内容としてはありふれた感じのもので、10年ぶりに好きな人と再会し、そこから恋が始まるというものだ。はっきりいって観る気もしない。しかし主演がタイプだった。
そこで私は日曜日なのに早起きして、映画館に出かけたのだ。まさかそこで自分が千葉君と、10年ぶりの再会をはたすとは、思ってもみなかった。映画と違う所は、千葉君が私の好きな人ではないというところだ。
最初のコメントを投稿しよう!