0人が本棚に入れています
本棚に追加
映画館に入りかけたところで、声をかけられた。
「独りで映画、観られるんですか?」
身長は180㎝ほどだろうか、小さな私から見ればかなり大きい、17、18歳の男の子だ。
有名なスポーツメーカーのジャージを着ているのだか、なかなか似合っている。初めは無視をした。
私にはこんな若い男の子の知り合いはいないし、どことなく恐怖を感じたのだ。関わらない方が良い。そう思った。
その時、さっと腕が私に向かって延びてきた。
「昔、付き合ってたなかなのに、僕のこと忘れちゃいましたか。」
そう言って、短い私の髪をくしゃくしゃと撫でた。
その瞬間、私の中の記憶が一気に溢れかえる。
高校生の時に一度だけ付き合った、彼のこと。
それが、千葉くんだ。
最初のコメントを投稿しよう!