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昼休みにやたらはしゃぐ生徒達の間を縫って校舎の中を早足で抜けて。
下駄箱で靴を履き替え。
グラウンドまでくると、そこにはサッカーをする男子たちの集団。
脇の通路で見学する女子からは、声が上がる。
その声を向けられている人となればカッコいいに決まってる。
そう思った瞬間に……。
皆が羨むくらいカッコいい人と素敵で刺激的な恋をしよう!!
やってきました!天からのお告げの声。
「ホラー女のレンアイ研究、これは幸先いいスタートだわ!!」
天の声のお出ましにガッツボーズ。
……というように。
変人どころか、変態の世界へ足を踏み入れつつある。
「……で、こんな所来てどうするの?」
私を止めたの追ってきた華子だ。
「何で華子がついてくるの?」
軽く喧嘩してきたはずなのに。
結局世話を焼きにきた華子をジロッと睨む。
「あんたの感覚で『カッコいい人』っていうのがちょっと不安だったから」
心配してくれるのは、ありがたい。
でもその必要はない。
「この学校でカッコイイって言ったらもう、彼しかいないでしょ?」
これでもちゃんと美的センスはある。
その証拠に私が選んだのは……。
「……2年4組、葉山真裕くんです」
目の前で女の子たちに囲まれる、超イケメン。
背はすらっと高くて細身だけれど、なびくトレーニングシャツから割れた腹筋がちらり。
茶色の髪はアシンメトリーで、無造作にクシュクシュ。
おまけに綺麗で優しい顔立ちとくれば、文句のつけどころがない。
「またベタな人選んだね」
「学園一の人気者との恋。甘くて刺激的で、少女漫画みたいでしょ?」
彼とならきっと素敵な恋ができると、そう断言できる。
ただし問題が一つ。
「そうだけど。真裕くんと知り合いなの?」
「違うよ。まったくの初対面」
私と真裕は面識ゼロ。
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