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「……………………」
でも、ぼくの思いは、あっけなく裏切られてしまった。
(そんなあ……ここ、タマムシシティのデパートじゃないか……)
ぼくがゲートを開けた先に出たのは、ぼくの住んでいるマサラタウンから遠く遠く離れた、タマムシシティのデパートだった。前に何度か来たことがあるから、すぐに分かった。
ああ、ぼくはもうどうすればいいのかさっぱり分からない。確かにトキワの森につながるドアを開けたはずなのに、ぼくが今いるのはタマムシシティのデパートだ。何から何まで、滅茶苦茶だ。
(ああ、やっぱり、どこかヘンになっちゃったんだ。ぼくの知らない間に、滅茶苦茶になっちゃったんだ)
ぼくは泣きたい気分だった。周りを見回してみても、知っている人は誰もいない。皆、見知らぬ人ばっかりだ。
と、ぼくがふと隣を見てみると。
「……………………」
「……………………」
ぼくと同じぐらいの男の子が一人、釣竿を持って立っていた。デパートの中で、釣竿を持って立っていた。
その光景が、ぼくにはすごくおかしな光景に見えた。だからぼくは知らない間に、その男の子に声を掛けていた。
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