壁はゆめの五階で、どこにもゆけないいっぱいのぼくを知っていた

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「……?」 ぼくは中に入ったとき、思わず目を丸くしてしまった。ぼくはどこへ入ったんだろうと、思わず周りをきょろきょろと見回してしまった。 「ぼくはどうして、ポケモンセンターにいるんだろう?」 周りを見回してみても、そこはぼくがいつも使っているポケモンセンターだった。 ぼくの前には看護婦さんがいるし、中にいる人たちも、ぼくのよく知っている人たちばっかりだ。間違いなく、ここはポケモンセンターだ。それも、ぼくがいつも通っている、トキワシティのポケモンセンターだ。 「おっかしいなあ。ぼく、自転車屋さんに入ったはずなのになあ」 そうだ。ぼくはついさっきまで、ぴかぴかの自転車を外から眺めていたはずだ。それで、見るだけならいいやと思って、自転車屋さんのドアを開けて、その中に入ったはずだ。 (でも、ぼくはポケモンセンターにいる) でも、ぼくが今いるのは、間違いなくポケモンセンターだ。自転車屋さんじゃない。自転車の姿なんて、どこにも見当たらない。 (見間違えたのかなあ) ぼくはおかしな気分になりながら、でもせっかくポケモンセンターに来たんだし、ぼくのポケモンたちを回復させておこうと思って、看護婦さんの前まで歩いて行った。
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