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「すいません」
ぼくはいつものように、看護婦さんに話しかけた。
……でも。
看護婦さんは、ぼくにこう答えたのだ。
「通信ケーブルクラブへようこそ。こちらは通信ケーブルをお使いの方を、特別にご案内しております」
今度は、ぼく耳がおかしくなったのかと思った。ぼくは看護婦さんに話しかけたはずなのに、看護婦さんはお隣の、通信ケーブルクラブのお姉さんの言うような言葉を言った。
(……おかしいなあ。どう見ても看護婦さんで、ちゃんとリカバリーマシンもあるのに、言っている事が滅茶苦茶だ)
ぼくはちょっと薄気味が悪くなって、もう一回話しかけることにした。ひょっとしたら、看護婦さんは寝ぼけていて、お隣で仕事をしているものと勘違いしちゃったのかも知れない。もう一回話しかければ、きっといつもと同じように返事をしてくれるに違いない。
ぼくはそう考えて、もう一回話しかけた。
「すいません」
「通信ケーブルクラブへようこそ。こちらは通信ケーブルをお使いの方を、特別にご案内しております」
……さっきと、まったく同じ返事が返ってきた。今度は間違いなく、ぼくの耳にもしっかりと聞こえた。目の前の看護婦さんは、確かに、お隣のお姉さんがいうようなことを言ったのだ。
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