壁はゆめの五階で、どこにもゆけないいっぱいのぼくを知っていた

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「……………………」 今度こそ薄気味が悪くなって、ぼくは何も言わずにそこから離れた。 (今日は、なんだかヘンなことが多いや。気味が悪いよ) ぼくは何も見ないように目をぎゅっと閉じて、早足で歩いた。 そのままポケモンセンターのドアを思いっきり開け放って、外へと飛び出した。外に出れば、きっといつも通りの光景が広がっていると思ったのだ。 ぼくは外に出て、初めて目を開いてみた。   「……? あれ? ここはどこ……?」 ぼくは外に出て初めて、そこはぼくの見慣れているトキワシティではないことに気付いた。 「……ひょっとしてここは……ニビシティ……?」 ぼくは恐る恐る、辺りを見回してみた。 するとどうだろう! ぼくは外に出て初めて、ここがニビシティだということに気がついたのだ。周りを見回してみても、トキワシティに住んでる人の姿は一人も見えないし、街の構造は、どう見てもニビシティだった。 ぼくは、ニビシティにいるのだ。 「ぼくはどうして、こんなところにいるんだろう?」
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