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───夢を見た───
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嫌な夢。
胸が張り裂けそう。
…彼の声も、あの娘の声も……もう何も聞きたくないのに。
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「司先輩、申し訳ないんですけど…。」
そう言って魔女のような氷の微笑みを私に向けて…
渡されたテープレコーダーを受け取り疑問符を浮かべていると、聞いてくださいと言われた。
特に何の疑問ももたず再生を押して、ほどなく後悔する。
そこには、その瞬間まで何の迷いもなく愛していた男の声と、可愛らしい声。
お互いに気持ち悪いほど愛を囁き合い、衣擦れの音…そこからは聞きたくもない卑猥な音が流れている。
テープレコーダーを持つ手はどんどん冷たくなり、頭が真っ白になっていく…
「ごめんね、先輩…」
そう言って氷のように美しく微笑む彼女…
やだ…
やだ…
やだよ…何これ…
何で…どうして…
やだ……
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「……嫌!!!」
言って醒めた。
まぁ、叫んだと言うほうが正しいが。
そして気付く。
あぁ…夢だったんだ…
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