穴があったら入りたい

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それに対し更科は1人心配そうな表情を向けていた。 「あ…落ちた。」 わかったのは美緒がそう呟いた言葉だけ。それが最後にその後の記憶はぷつりとない。 「…司さんてやっぱあんま強くないですよね~…」 「してやったりなわけ?瀬戸内君。確信犯ね…」 美緒がにやりと不敵な笑みを漏らす。 「え!ち…違いますよ~!」 「ま、この娘にはちゃんとした王子様がいるもんね…」 顔を赤らめて手をパタパタ振る瀬戸内に対し、聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いた。 「…え?」 その時、美緒が一瞬また笑った気がした。と思ったら頭上に影が。 「こいつはもう送って帰るから。」 「わ!虎太郎兄さん?!」 「そうくると思ってました~。んじゃ課長よろしく~。」 「え?え?」 瀬戸内他周りにいた同僚達も驚きを隠せない。 「ほら、私二次会行きたいし!でもこの娘の家知ってるの私か課長くらいだし~」 とフォローを入れたつもりだがみんな納得したかどうか… そのまま更科は司を背負い、「じゃ、あんま羽目外すなよ。」そう言って出て行った。
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