3/4
前へ
/4ページ
次へ
「ねえねえ」 わたしはIくんの首筋に触った。 するとIくんはものすごい顔をして私の手をバシッとはたいた。 「首はやめてよ!苦手なんだ」 「ごめん・・・」 「ごめん、ホントにダメなんだ。君がいやとかじゃないから。 俺のこと、嫌いになった?」 「ううん、全然、好き」 そのあと雨が降り出した。 Iくんの家の周りは雨で池のようになっていた。 困っていたらIくんは傘を持って、私をおんぶして家を出た。 「今日は家まで送れなくてごめんね。水溜りを越えるとこまでなら」 私は自然とIくんの首に腕を回していた。Iくんの少し長い髪に顔をうずめて匂いを嗅いだら、 なんだろう、夕方のにおいみたいなのがした。 そして冷たいものが私の鼻の先に触れた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加