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「ねえねえ」
わたしはIくんの首筋に触った。
するとIくんはものすごい顔をして私の手をバシッとはたいた。
「首はやめてよ!苦手なんだ」
「ごめん・・・」
「ごめん、ホントにダメなんだ。君がいやとかじゃないから。
俺のこと、嫌いになった?」
「ううん、全然、好き」
そのあと雨が降り出した。
Iくんの家の周りは雨で池のようになっていた。
困っていたらIくんは傘を持って、私をおんぶして家を出た。
「今日は家まで送れなくてごめんね。水溜りを越えるとこまでなら」
私は自然とIくんの首に腕を回していた。Iくんの少し長い髪に顔をうずめて匂いを嗅いだら、
なんだろう、夕方のにおいみたいなのがした。
そして冷たいものが私の鼻の先に触れた。
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