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そんな俺のウキウキ気分に水を指す奴等。表通りを騒がしく闊歩してやがった。
ハシルア王国の紋章を着けた大層お目立ちになる青い甲冑を身に纏う俺の商売敵達。
「駄目です。一番街、二番街には見当たりません」
「まさか、四番街に入っては居ないだろうな?とにかく俺は四番街に行くから、君たちはこの三番街を探してくれ」
大の大人五人が二十歳そこらのガキに命令されている光景。あの兄ちゃんは、どうやら良いところの家柄の御身分らしいな。
どうやらどっかの馬鹿がヘマをやって追われているらしいが、王国騎士団になんて、俺は関わる気は無いし、職業柄関わりたく無いので、五年間使い古したニット帽を深く被り直して、路地裏へ消える事にしよう。先程、財布をスリ取ったおっさんが番所に駆け込む前にとっとと、マイホームの厄介な四番街へと帰りましょう。
そう、俺には関係の無い事だった。
商店のひしめく三番街、八百屋と書店の間の歩き難い狭い路地に入ってこいつに出会うまではね。
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