泣き虫な僕

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 その日の昼休みも、友達となんとも無い話しをしていたのだが、ふと会話が切れた瞬間に彼女の顔が頭の中に浮かんでしまった。 すぐに目頭が熱くなり、動悸が激しくなった。 友達にトイレに行ってくると言い、僕は人目を避け、逃げるように屋上へ向かった。 今まで何度も涙をこらえるよう努力していたのだが、それはいつも無駄な努力に終わってしまっていた。だからいつも隠れて泣くことにしていた。  僕は足早に屋上への階段を登った。その頃にはもう視界は滲み、呼吸は乱れていた。手首の内側で瞼を擦りながら扉を開けると、ちらちらと雪が降る中、女の子が一人で煙草を吸っていた。 女の子は僕の真っ赤な眼を見て、不思議そうに小首をかしげながら煙を吐き出した。  僕は慌てて出て行こうとあとずさりした。 「ねえ、泣いてるの?」女の子は微笑みながら言った。「どうしたの? 私でよかったら話聞くけど……」その何気ない言葉と、優しい微笑みは、僕の涙腺を壊すには充分すぎた。 僕はその場で立ち尽くし、子供のように嗚咽を漏らし泣いた。頬を伝う大粒の涙が冷たかった。
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