泣き虫な僕

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 冬休みに入って間もない頃、元彼女から電話があった。  彼氏の事で相談に乗って欲しいと言われた。 浮気してオレの事を捨てたくせに……、それが最初に浮かんだ気持ちだった。 一年も経った今更、しかも彼氏のことで相談。ふざけんるな……、ふざけるな……。女とか関係無い、殴ってやる。そして次いで激しい怒りが込み上げてきた。 殴らなければ僕の頭が狂いそうだった。  僕は怒りを悟られないように声を抑え付け、「オレの家で話そう」そう言って電話を切った。  電話から1時間も経たないうちにまた着信があった、今家の前にいると元彼女は言った。僕は何も言わずに電話を切ると足早に玄関へと向かった。  ほんとうにボコボコに殴ってやろうと勢いよくドアを開けた。  しんしんと雪が降る中、口から血を流し、顔のあちこちを青く腫らした元彼女が立っていた。  ボクは殴れなかった。
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