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誰からだろう?
電話の着信は追い詰められた真由の頭を少し落ち着かせた。
床から体を引き剥がすように立ち上がり、部屋へ入り携帯を手に取ると丁度不在連絡へ切り替わるところで慌てて通話ボタンを押す。
「はっはい。も、もしもし。」
長い時間謝り続けていたため、擦れて老婆のような声になっていた。
「あれ、真由?」
電話の相手は大学で同じゼミの酒井亜樹だった。
「あ、亜樹。ごめん、ちょっと喉痛くて声変なんだ。」
「大丈夫?具合悪いの?今日の風間の講義出ないとまずいって言ってたじゃん。まだ来ないから携帯してみたんだけど駄目そう?」
亜樹とはゼミが一緒なだけで特に親しくしている訳ではない。
そんな亜樹から合コンに誘われ、正直行きたくなかったけど、同じゼミで対立したくなかったから誘いを受ける事にした。
気乗りしないからうだうだとしていたら、約束の時間を30分も過ぎてしまい、亜樹から催促の電話が来て落とせない単位のレポートで手間取っていると言い訳をした。
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