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今、亜樹が言っているのはその講義の事だ。
適当に言ったのだからそんな講義落としてしまってもかまわない。
「うん、ちょっと無理。風間には後で事情を話してみるよ。電話くれてありがとう。」
「そう。じゃ、ゆっくり寝てね。元気なったら昨日のカレの事も聞くから覚悟しておいてね。じゃあね。」
電話を切り、携帯を見つめる。
「カレの事……か。」
こんな事になったのは亜樹のせいでもあると思った。
昨日遅れてお店に行って気が付いたけど、もう相手がいる娘や目当ての男がいる娘ばかりで、それぞれが不干渉条約でも結んでいるかのような振る舞いをしていた。
真由にも担当と言うか、あてがわれた男がいて、そいつには誰も寄り付こうとせず1人で黙々と飲んでいた。
どうしてあの日あの場所に座ってしまったのだろう。
無理に隣になんて座る必要も無かったし、それに男の相手をする必要も無かったはず。
真由は携帯をベッドの上に放り投げ溜め息を吐く事も疲れたように、ただバスルームのドアを見つめた。
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