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真由のマンションは玄関を抜けると右手にユニットバスで、その反対が寝室になっている。
真っ直ぐ進むとリビングになっておりキッチンもそこに在った。
真由は自分の掠れた声を思い出し、喉に絡み付く刺々しい痛みを感じだした。
音を立てないようにそっとバスルームの前を横切り、リビングの冷蔵庫から2リットルのミネラルウォーターを取り出して、そのまま口を付け喉を湿らす程度に飲む。
なんの味もないクリアで冷たい水が喉を潤し痛みを和らげてくれる。
冷たい物を飲んだおかげで体温が下がり、頭に登っていた血が下がって少し冷静になれた気がしてきた。
「一度落ち着いて話しをしなきゃ。」
自分に言い聞かせるように独り言を呟き、廊下の先のバスルームがあるだろう場所を見つめる。
真由の場所からでは死角になってバスルームのドアは見えない。
そう、真由はバスルームから目を離してしまった。
一度は冷静になりかけた頭に霞が掛かり顔まで熱くなりだす。
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