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部屋に流れるテレビの音より自分の鼓動の方が大きく聞こえ、それを押さえ込むように胸倉を鷲掴みにする。
昨夜から何度も泣き腫らした目は真っ赤に充血し、新しく涙の後を作っていた。
「なんでこんな事になったんだろう。
なんで私なの?
どうして気乗りしない合コンなんていったんだろう。
なんでいつもこうなの?
なんで、どうして……。」
喉を鳴らしてゴクリと何かを飲み込む。
「どうしてあの時にこうしなかったの!」
噛み締めていた唇から赤い一筋の線が流れる。それを舌で舐めあげ、また喉を鳴らす。
包丁を握り締めた手に昨夜の鈍い感触が戻ってきた。
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