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液晶にヒビを入れた携帯が床を滑りドアにぶつかり止まる。真由は視界の端でそれを確認したが、かまわずドアを開けようとノブに手を伸ばす。
あと数センチのところで防音の重い玄関扉に自分の物ではない手が叩きつけられ動きを制される。視界の半分を相手の影が覆った。
咄嗟に相手が居る反対側へ屈みながら体を捻る。
身を逸らす動作の流れに合わせ、落ちていた携帯を反射的に掴んだのは防衛本能の成せる業であろうか。
振り返った目の前に、片手を玄関扉について先程まで真由の居た辺りにもう一方の腕を伸ばしたままの男の半身があった。
今なら!
振り向いた勢いをそのままに、携帯を持った手にもう片手を添えて握り締め、無防備な後頭部へ叩きつけた。
両手で握り締めていた携帯が弾かれて再び床へ落ち、液晶を完全に砕かれて破片を飛散させる。
「っぐ。」
男は低い呻きを漏らすと携帯の横に並んでうつ伏せに倒れた。
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