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中野恭哉はバスタブの中で拘束されていた。
叫んでから暫くの間は体をくねらせ何とか起き上がろうとしていたが、狭いバスタブの中では中々上手く行かず、余計に苦しい体勢になりそうだったので、諦めて膝を抱えるようにして横になっていた。
「落ち着け、良く考えろ。俺はどうしてこうなった?」
今が朝なのか夜なのかバスタブの中からは窺えないが、自然と起きたのだから昼頃だろうと思った。
大学生である恭哉は昨日の講義に出ていたのだから、何かあるとしたら夜だろう。
恭哉は自分が昨晩何をしたのか思い出そうと目を閉じる。
たしか昨晩は友人に誘われて合コンへと出かけた。
それは酷いもので相手がほぼ決まっており、割り勘要員として呼ばれた感が強く、会話に混ざる事も出来ずに酒だけをあおり続けた。
手当たり次第に飲んだせいで途中から記憶が曖昧になり、そして目を開けたらバスタブの中だった。
落ち着いて考えていると、気がつかなかった痛みがやってきた。
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