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響くような頭痛と軋む関節痛、さらに硬い床に寝ていたせいで背中まで痛い。
次第に苛立ち、バスタブを揃えて縛られている膝で蹴りつけた。
「ってえな!ちくしょう!!」
目を開けて丸まったままごろりと転がると仰向けになり、四角い世界を見回した。
壁の反対側にはシャワーカーテンが下がっており、トイレと一体型のユニットバスだと分かった。
とりあえず起き上がれないのだから、今考えつく一番いい方法を取ることにする。
それは携帯で助けを呼ぶことだ。
壁側の尻のポケットに入れていたはずの携帯を取り出そうとシャワーカーテン側へと体を倒して向きを変える。
壁にポケットを押し当ててみるがそこに在る筈の硬い感触が伝わってこない。
バスタブの中で体をうねらせ携帯を捜すがそれらしい感触は見当たらなかった。
残しておく訳がないか。
何となく想像できた結果にそれでも落胆し、大人しくシャワーカーテンを見上げる。
そして、やっと気が付いた。
そこに人の気配がある事に。
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