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内藤真由はシャワーカーテンを見つめながら途方に暮れていた。
少し前、辺りが明るくなる頃、気が付くとバスルームの扉を背にして寄りかかり座っていた。
この中に悪夢がつまっており、それが出てこないように背中で抑えたまま眠ってしまったようだ。
のろのろと立ち上がりバスルームのノブを握る。
自分におこった事、自分のした事が夢であって欲しい。
そんな気持ちでユニットバスを覗いたが、シャワーカーテンの向こうには否定できない現実の存在感があった。
それは最初、軽く呻きながらもぞもぞとしていただけだった。
その後急に叫んで暫く暴れ続け、一旦大人しくなり今度は壁を蹴りだした。
真由は恐ろしくなり声を出すことも出来ずにじっとシャワーカーテンを見つめるしか出来なかった。
今は静かになっているが、真由にはなんとなく分かっている。
それがこっちを見て真由に気付いている事を。
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