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男をここに閉じ込めた経緯や今の言動をからすれば、拘束を解いた途端襲われる可能性の方が高いと考えた。
閉じ込める前なら貞操を奪われるだけで助かったかも知れない。
思えばその方がマシだったようにさえ思える。
今では貞操どころか命の危険さえ感じて止まないのだ。
一方、シャワーカーテンを隔てて恭哉も気配が動いたことに怯えていた。
何も言わずに座り込むとカチカチと何かを打ち合わせる微かな音が聞こえてきている。
絶え間なく聞こえ続けるその音が不気味で仕方ない。
ひょっとしたら、シャワーカーテンの向こうに居るのが人でないのではとさえ考えてしまう。
もっとも人だとしても拘束してバスルームに詰め込む者がまともであるはずはない。
話が通じないのなら大人しくしていても意味がない。
ならば少しでも威嚇した方が良いと思い壁を強く蹴りつけた。
ドン!ドン!ドン!ドン!……
バスルームに連続して鈍い音が響く。
「ヒッ!」
真由は突然暴れだした男に驚き悲鳴を上げそうになる。
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